公布「石綿障害予防規則等の改正」(石綿対策の規制強化)

2020年7月1日「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令」が公布された。

石綿等が使用されている建築物の老朽化による解体等の工事は増加することが予想され、一層の石綿ばく露防止対策等の充実が求められていることから、解体・改修作業に係る労働者の石綿ばく露防止対策を強化するために、石綿障害予防規則、労働安全衛生規則について所要の改正(事前調査の強化等)を行うもの。

詳細は、下記資料参照。

●【概要】石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案(概要)
●石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(新旧対照表)
●石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について(通知・令和2年8月4日)
●建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会報告書(令和2年4月14日)
●【通知】石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について(令和2年8月4日基発0804第8号)
●【通知】石綿障害予防規則第3条第6項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者に係る具体的事項について(令和2年9月1日0901第10号)


改正の概要

1.石綿障害予防規則

工事開始前の石綿の有無の調査
  • 事前調査方法の明確化【2021.4.1施行】
    • 工事対象となる全ての部材について、設計図書等の確認及び目視による確認の必須化等(則3第2項・3項)
  • 事前調査・分析調査結果の記録等【2021.4.1施行】
    • 記録項目の明確化・3年保存・作業場への備え付け等(則3第5項)
  • 建築物の事前調査・分析調査を行う者の要件 【2023.10.1施行】
    • 事前調査及び分析調査を行う者の要件を新設(一定の講習修了者又は同等以上の知識・経験を有する者等。告示で定める)(則3第4項・6項)
  • 吹付け材(レベル1)に対するみなし規定の適用【2021.4.1施行】
    • 石綿が含有しているとみなして措置を講じる場合の分析調査不要(則3第4項)

工事開始前の労働基準監督署への届出
  • 作業計画の届出(対象拡大)【2021.4.1施行】
    • 石綿が含まれている保温材等(レベル2)の除去等工事の計画を、14日前までに労働基準監督署に届出(則4)※従来は石綿含有吹付け材(レベル1のみ対象)
  • 事前調査結果の報告 【2022.4.1施行】
    • 一定規模以上の建築物・特定の工作物の解体等の工事は、石綿の有無に関わりなく事前調査の結果等を所轄労働基準監督署長へ電子システムにより報告(工事開始前まで)(則4の2)
【対象工事】
※解体部分の床面積が80m2以上建築物の解体工事
※請負金額が100万円以上建築物の改修工事
※請負金額が100万円以上特定の工作物の解体工事/改修工事

吹付石綿・石綿含有保温材等の除去工事に対する規制
  • 集じん・排気装置の初回時・変更時の点検【2021.4.1施行】
    • 隔離場所の集じん・排気装置に、設置場所など何らかの変更を加えたときにも、排気口からの石綿等の粉じんの漏えいの有無を点検(則6第2項第6号)
  • 作業前・作業中断時の負圧点検【2021.4.1施行】
    • 作業中断時において、隔離場所の前室が負圧に保たれているか点検(則6第2項第7号)
  • 隔離除去前の取り残し確認【2021.4.1施行】
    • 除去工事が終わって作業場の隔離を解く前に、資格者による石綿等の取り残しがないことの確認の義務化(則6第3項)

石綿含有仕上塗材・成形板等の除去工事に対する規制
  • 石綿含有成形品(レベル3建材)等の除去【2020.10.1施行】
    • 石綿が含まれている成形板等の除去工事は、切断・破砕等による除去の原則禁止(則6の2第1項)
  • 石綿含有けい酸カルシウム板第1種の切断・破砕【2020.10.1施行(新設)】
    • 石綿が含まれているけい酸カルシウム板第1種を、やむを得ず(技術上困難)切断・破砕等を行う場合における、作業場の隔離の義務化(ビニールシート等で隔離・常時湿潤な状態保つ ※負圧は不要(則6の2第2項)
  • 石綿含有仕上塗材の除去【2021.4.1施行】
    • 石綿が含まれている仕上塗材をディスクグラインダー等を用いて除去する工事における、作業場の隔離の義務化(則6の3)

写真等による作業の実施状況の記録
  • 作業計画に基づく記録【2021.4.1施行】
    • 石綿が含まれている建築物、工作物、船舶の解体・改修工事における、作業計画に基づく作業状況等の写真などによる記録・3年保存(則35の2)

発注者による配慮義務
  • 発注者による配慮【2021.4.1施行】
    • 解体・改修工事を発注する場合、発注者は、施工業者に対し、事前調査・作業実施状況記録が適切に行われるよう配慮を行う(則8第2項)
【配慮事項】
※工事発注条件(工事費用・工期・作業方法等)
 (注)石綿除去工事には通常より費用・工期がかかる
※石綿有無の情報提
※写真撮影許可、等

 

2.労働安全衛生規則

計画届の対象拡大
  • 従来石綿則第5条に基づく作業届の対象となる作業(レベル2の除去等作業等)についても、法第88条第3項に基づく計画届の対象とする(工事開始前→工事開始14日前までの届出)。
    ※レベル1:石綿含有吹付け材
    ※レベル2:石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材
    ※レベル3:スレート、Pタイル等

(出典)厚生労働省「建築物・工作物・船舶の解体工事、リフォーム・修繕などの改修工事に対する石綿対策の規制が強化されます(解体改修工事の受注者(解体改修工事実施者の皆さま)」

建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会 報告書のポイント

建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会 報告書のポイント

(出典)建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会報告書(概要)

スケジュール

【公布】2020年7月1日
【施行】規定により異なる(上記「改正の概要」を参照)

出典

○e-GOV「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集について」に対して寄せられた御意見等

○厚生労働省「石綿障害予防規則など関係法令について」

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